アメフトの控え選手が全米の注目を浴びる理由

アメリカンフットボールのプロリーグ、NFLのシーズンが始まりましたが、今一番注目されているのは、昨年のスーパーボウル(優勝決定戦)の出場チームの動向でも、ルーキーQBたちでもなく、ある控え選手です。

サンフランシスコ49ers の控え、コリン・ケイパーニック(Colin Kaepernik)は、数シーズン前、控えから先発QBの怪我によって先発入りし、大車輪の活躍で、チームを18年ぶりのスーパーボウル出場に導いた選手。

しかし、その後はチームもファンの期待に応えるほど躍進できず、今本人もシーズンは控えに甘んじている。

国歌不起立問題

そんなケイパーニックが、今年注目を集めたのは2016年8月26日のプレシーズンマッチ前、国歌斉唱時に、黒人や有色人種を差別する国の国歌斉唱の為には起立出来ないとして、抗議を示す為に立ち上がらずベンチに座ったままだった。

アメリカにおいては、特に警官による人種差別、アフリカンアメリカンの若者への暴行、殺人が問題になっており、人種問題の議論が過熱している。

これに対してアメリカ国内では議論が過熱した。その翌週9月1日の試合で、ケイパーニックは、国歌斉唱時に、着席と起立の中間をとった肩膝をついた姿勢で参加。

これは、国のために戦う過去、現在の軍隊の人々に敬意を示しつつも、引き続き人種差別に抗議するためだとした。

その後、この動きはアメフトシーズン開幕に合わせて、各チームに影響が波及、個人個人で片膝をつく姿勢をとったり、全員で肩を組み合うチームが現れるなどアメフト選手のなかでも賛同者は増え続けている。

アメフト以外では、女子プロサッカー選手でなでしこを苦しめたことで有名なメーガン・リピノーもこの動きに賛同。同じく試合前の国歌斉唱で、片膝をついて抗議した。

彼女の場合、自らがセクシャルマイノリティーであることをカミングアウトしている経緯もあり、この運動は人種差別にとどまらない、セクシャルマイノリティーへの偏見、差別への抗議に拡大している。

オバマ大統領も、この件について、軍とそこに従事した人々への配慮が必要としながらも、「彼の運動が、問題に関する様々な議論を活性化させてくれた」と、後押しするコメントをしている。

最近のアメリカスポーツ界では、LGBTの権利を制限する州法を制定したノースカロライナ州に対して、NBAがオールスターの開催を拒否、NCAAが各スポーツの試合開催を拒否するなど、政治的に改革派なスタンスをとっている。

他民族国家ならではな気もするが、日本でも、同様の社会問題はあるわけで、今後日本のプロリーグでこのようなことが起こった際の日本がどう反応するか、気になるところ。

きょうはここまで。

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