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[Life] 会社倒産の前夜、心斎橋の夜には笑い声があふれていた その4

公開日: : 私生活 ,

photo credit: harry_nl via photopin cc

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新卒で入社した中小企業が2年半で倒産にいたるまでの回顧録。3年目の8月を向かえて未払い給与は4ヶ月分ぐらいになる。民事再生は目前だった。

前回までのお話はこちら。

[Life] 会社倒産の前夜、心斎橋の夜には笑い声があふれていた その1

[Life] 会社倒産の前夜、心斎橋の夜には笑い声があふれていた その2

[Life] 会社倒産の前夜、心斎橋の夜には笑い声があふれていた その3


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8月。なんで働くかについて考える

8月は7月以上に厳しくなった。当然辞める人間はさらに増えて、残っているスタッフひとりひとりの負担はさらに増した。

倒産する会社に残って最後まで働いたからといって、給料が優先的に支払われるかというと、そんなことはまったくなく、給与債権の優先順位に差はつかないというのもこの頃しった。

つまり、僕らがどんなにたくさんクレーム対応をしたり、資金調達に奔走したりしても、倒産してしまえば、支払われるのは先に会社を去った人間と同じタイミングで同程度の金額なのだ。

完全な敗戦処理。それでも、僕らは去る人間を責める事もできず、残ったメンバーで毎日の業務にあたっていた。

「お金ももらえないし、毎日いろんな人から催促、督促しかされないのに、なんで出社してるんだ?」ってよく社内で冗談いいあってた。


進退について

民事再生を8月末に控えて、残っているメンバーには今後の進退についての意向が問われた。

民事再生後も会社に残るか、または去るのか。

僕は、民事再生までは働くけれど、民事再生後は退職したいと希望を出した。ほっておくといつまでたっても、ただ働きをし続けなければならないような気がしていたし。

現にだらだらと8月まできてしまっていたこともあったので。

ただ、すごい慰留を受けていたこともあって、結局なし崩し的に残ることになってしまった。


民事再生

8月末日に会社は民事再生をした。簡単にいうと、これまでの借金は一回なかったことにして、事業立て直します、ということ。

このあたりは部分的な作業にはかかわりはしたけど、基本的に弁護士の先生や財務部が主導で話をすすめていた。

9月にはいると債権者集会や事業所閉鎖作業で忙しくなる。大阪中之島にあったビルを退去したり、会社資産の整理をしたり、相変わらず債権者の方からの督促は多かったけど、少しだけ気持ちは楽になっていた。

民事再生をした上で、僕たちスタッフは全員解雇という扱いになった。らしい。

らしい、というのは、相変わらず毎日出勤していたので辞めた感覚がなかったから。けれど、出勤した日数分のバイト代が支払われるようになった。

福利厚生がなくなり、手元に現金で渡される日当。かなり生々しい働き方をしていた。

債権者集会は、9月の中頃に行なわれた。当日もめちゃくちゃ忙しかったのを覚えている。もっと大変な騒ぎになるかとおもったけれど、会は粛々とすすみあっという間に終わった。


終わりの日へ

債権者集会後は、日々が淡々とおわりに向かってすすんでいった。民事再生はしたものの当然復活できるような体力があるわけでもなく、10月1日付けでの破産はきまっていた。

そのために、各事業所をしめる準備、資産の把握、過去の会計資料の運び出し、破産管財人に渡すための債権者リストの整理、といった作業を心斎橋近くにある雑居ビルの一室でやっていた。

そこは廊下に薬品かなにかの独特のあくの強い匂いがただよう場所だった。ビルから数分歩くと華やかな心斎橋があり、ひとびとがみな楽しそうに買い物やら食事を楽しんでいて、やたら眩しかった。


破産以外のストレス

ここまでくると会社が破産するため必要な処理や手続きをやるのが自分の仕事だと僕はおもっていた。まだ独身だし(今もだけど)別に守るものもないので、最後まで見届けて、できるかぎり周りへの迷惑を軽減しなければっておもっていた。

だから、それ以外のことをやらされるのがすごいストレスだった。会社が破産したあと、できる限り代表への傷が浅く済むようにするための準備をいろいろと手伝わされたいたのだ。

目の前の「破産」に向かって仕事をしているのに、自分の財産を守るためにあれやこれやをやらせてくる代表には本当に嫌気が差していた。

一年前人がかわっていく様をよくみておけ、といっていた先輩の言葉頭にこだましていた。人間追い込まれてくると、我先になるものだと。



最後の日

最後の日々も忙しかった。明日倒産するということがわかっていても、それまでに果たして間に合うのかーってくらいやる事がたくさんあった。結局9月29日は会社を出たのは日付が変わってからだったし、30日も12時間以上会社で仕事をしていた。


それでも、全てが終わった後、残ったメンバーで心斎橋の安い屋台村のようなところに飲みにいった。ここ一年で大きな仕事もなかった僕たちにとっては、破産までなんとかこぎ着けたということに達成感があった。

その夜はたくさん飲んで、たくさん昔話して、たくさん笑った。不思議と悲壮感もなかったし感傷にひたることもなくて、みんな笑顔だった。

会社がつぶれたからといって、僕らの人生が終わるわけではないし、また明日がくるだけ。

今から思えば、僕たちの中で、「会社」というもの自体がもうずいぶん前につぶれてなくなっていた。単にそこに仕事が残っていて、それを終わらせるためにみんな最後までいて、たいしたお金ももらえないままはたらいていたんだろうなって。

代表に最後までついていくという人も中にはいたようだけど。


最後に

こうして僕が新卒で入社した会社は二年半で倒産した。最終的に半年分ぐらいの給料が未払いのまま残り、国の補助制度で88万円はかえってきたけれど、これも未払いの税金や借金を返して、その後の引っ越し費用につかったらほとんどなくなった。

その会社は、資産を確定させるために今も関連会社と係争中らしい。労働債権は優先順位が高いので、いつかは未払い給料が振り込まれるかもしれないっていう話だけど、2年半たった今では正直どーでもいい。

会社が倒産してから数日間は、日中は荷造りをして、夜はお世話になった人に挨拶をしてご飯食べにいったりという生活をしていた。

会社の代表から、次の事業をするから働いてくれという慰留もあったけど、次の可能性をためしたかったのでお断りした。


もしあなたが僕と同じ環境にいるなら

我ながら壮絶な体験だったなーと今になっておもう。よく精神的にまいらなかったなとおもうし、それは単に運がよかっただけということも最近になってようやくわかってきた。

なので、この頃の僕と同じような体験をしている人がいたら、迷わずにすぐに辞めるようにすすめようとおもっている。無償で最後まで働き続けるのは、心身ともに疲弊しきってしまうから。

途中で辞めたからといって誰も責めたりはしないし、最後まで残ったからといって素晴らしい何かをつかめるわけでもない。

自分にとって何が価値のあることなのか、最も大切なものはなんなのか、そこを考えた上で判断して欲しい。

新しい会社にきてから二年ちょっと。いまだに給料日は口座を見るときはドキドキする。給料が振り込まれることが当たり前っていう感覚がもどってくるまで、まだもう少しかかりそうだ。

終わり。

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  • わっと ( @WatOno )
    東京生まれ 南カリフォルニア育ち、神戸、伊豆を経て現在は東京在住。84年生まれ/輸入コーディネーター。

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